榎酒造さんは呉市音戸町の蔵元さんです。音戸といえば、歌手の島谷ひとみさんの出身地としても有名なところですね。
榎酒造さんは貴醸酒という高級酒に熱心に取り組まれている蔵元さんです。その仕込水なんですが、広島の主な蔵元さんが使用している軟水ではありません。音戸の水は「中硬水」で、京都の伏見に似た水質なんですね。なので、ほかの広島の酒と比べると辛口の味が際立ったとても特徴的なお酒です。
榎酒造さんの「華鳩」には大吟醸酒や、ひやおろしもあるのですが、今回は、「華鳩 特別本醸造 辛口」を試してみました。
広島の酒の中でも、珍しく辛口を感じさせるお酒です。ラベルにもある通り日本酒度+11.0。6.0を超えると超辛口ですから、そのなかでも特別に辛口のお酒ということになります。
実は、今回このお酒を試したのが、その前に別の辛口の酒を試した後だったんですね。その時はこの酒を「苦い」って思ったんですよ。
でもね、とても気になるお酒だったので、翌日に改めてこの酒だけをじっくりと飲んでみたんです。すると、これがとっても爽やかな味なんですよ。確かにアルコールを強く感じる辛口の酒なんですが、透き通る味と言うのでしょうか。蒸留酒のような酒の純粋さを感じます。
わたしはこの酒は冷酒で飲むのが良いと思います。煮込み料理や干物、味が濃い料理などと、とてもよく合うだろうと思います。
榎酒造さんは、明治32年の創業当時は「清盛」という名前でお酒を造られていたんですね。平清盛は、音戸、そして広島では馴染み深いのですが、全国的には源氏の敵ということで、その名前からお酒も敬遠されがちだったようです。そこで新しく造られたのが、この「華鳩」。酒蔵のある場所の昔の名前の「鳩岡」、そして当時の小学校1年生の国語の教科書「ハナ、ハト、マメ、・・・」の出だしということで名付けられたようです。
「清盛」のお酒も、現在でも販売されています。